「なんで今なのよ」


美帆はわたしの隣に座って、優しく背中をさする。


わたしだってそう思ってる。

でもたぶん、トシと離れることがなければわたしはこの気持ちにいつまでも気づかないふりをしていただろう。

わたしはずっと幼なじみ、という関係に言い訳していただけなんだから。



「ねえ、美帆。

わたし、バカだよね…」


今ならこれまでの全部が分かる。


トシの誕生日にわたしの知らない女の子にプレゼントをもらっているところを見てその映像がずっと頭の中をぐるぐる回ってたことも、

ナオくんに告白されたことを相談した時、トシに付き合えばってそう言われなぜか無性に腹が立って、悲しくなったことも、

学祭でお化け屋敷にトシが吉村さんと腕を組んで現れた時に嫉妬をしてしまったことも、

全てに説明がつく。


わたしはトシが好きだったから、

プレゼントをもらって少し戸惑いながらも笑いかけるトシに嫉妬をして、

付き合うなよって言ってほしかったのにそれをしてくれなくて悲しくなって、

むしろ背中を押すトシに腹が立って、

吉村さんのことは好きじゃないって言うのに腕を組んで現れたトシに勝手に裏切られた気がして、やっぱり嫉妬して。


全部、全部、『好き』からくる気持ちだった。