時は無情だ。


わたしの気持ちを無視して、どんどん進んでいく。



どれだけ悲しくたって、

どれだけ苦しくたって、

わたしの気持ちなんてこれっぽっちも気にかけず、

これまでと何も変わらず時は刻まれていく。


そしてわたしは非情だ。

これまでのわたしを支えてきたトシという存在がいなくなっても

毎日部活に行って、帰りはナオくんと地元の駅まで一緒に帰って。

たまにデートして。

そうやってこれまでと何も変わらない毎日を送っていた。



そうして、新しい年を迎え、数日が過ぎた。

明日から新学期が始まる。


「ただいまー」


「おかえり」


「ご飯食べる前にお風呂行ってくるね」


今日は風が強かった。

部活で1日中外にいたわたしの髪の毛にはいっぱい砂やら埃やらがついているはずで。

おなかはすいてるけど、

それよりもまず先にお風呂に入ってすっきりしたかった。



「…またやっちゃった」


自分の部屋のドアを開ける。

真っ暗な部屋に差し込む一筋の光を見たわたしは大きくため息をつく。


そして部屋の中をツカツカと歩き、勢いよくカーテンを閉めた。



「バカ…」


わたしの、バカ。

もうトシは隣の部屋にいない。

だからカーテンを開けておく必要なんてない。

それなのに毎朝わたしを起こしに来たお母さんによって全開になるカーテンを
家を出るときに閉めるわたしは何も考えず、少しだけカーテンを開けておいてしまう。

もう何年もそうしてきたように、わたしは今でもそうしてしまう。


また1つ、大きなため息が出る。



トシの、バカ。

なんで…


なんで、いなくなったの…っ!!