「じゃあ、俺帰るわ」


トシは服を握っているわたしの手を取って、


「ほら、立てよ」

そう言っていとも簡単に立ち上がらせる。



「ひとりで行けるな」


「うん、大丈夫」


トシは満足そうに微笑み、わたしの手を離す。



「ちゃんとばあちゃんと別れて来るんだぞ。

言わなきゃいけないこと、いっぱいあるだろ?」


うん、そうだね。


ありがとう、って

これから頑張るよ、って

またね、って。


伝えなきゃならないことがたくさんある。



「気を付けてな」


トシはそう言って部屋を出て行った。