お風呂から出て、そのまま自分の部屋へ行く。

濡れた髪の毛なんて気にもせずに。



「ユウ!?ご飯、食べないの?」

階段の下からお母さんの声。


「いらない」

それだけ答えて部屋へ入る。


お母さんはまだ何か言っていたけれど、

ドアを閉めてしまえばそんな小言はただの雑音に変わる。


部屋へ入って、ベットへダイブ。


あの女の子はいったいだれ…?


考えたところで答えなんてでるわけないのに、

どうしても考えてしまう。



もしかして、高校の友達とたまたまあそこで会って立ち話してたのかな。

…いや、違う。

そうじゃない。


だってあの女の子の手にはラッピングされたかわいらしい袋が握られてたんだもん。


今日はトシの誕生日。

きっと学校じゃ渡せなくて、わざわざバイト先まで届けに来たのだろう。


…なんでわざわざ来たんだろう。


本当は考えなくても分かっていた。


彼女は、


あの女の子は、


トシのことが好きなんだ。