「ただいまー」
12月に入ってすぐ、おばあちゃんのところに行ってから帰ると、玄関に見慣れない靴があった。
「あ、ユウちゃん」
リビングに入るとトシのお母さんがそこにいた。
「こんばんは。
おばさん、珍しいね、うちにいるの。」
うちのお母さんとトシのお母さんは仲はいいけど、
お互いの家に行き来することは少ない。
だいたい家を出たところでばったり会って、
そこで立ち話をずっとしているか、
どこかお店で会うことが多い。
「そうねえ。
言われてみれば久しぶりかも!」
「なんか用事?」
「うん、ちょっとね」
おばさんはそう言って曖昧に笑う。
なんだろう。
なんか…違和感。
「ユウ、とりあえず着替えてきたら?」
お母さんにそう言われ、リビングを出て自分の部屋へ行く。
なんだったんだろう、さっき感じた違和感は。