「無駄に長く生きてるからねえ。

分かるよ、見てれば。」


まじかよ…


「トシくんはいつもユウちゃんを真っ直ぐに見ていた。

言葉は少し乱暴だけど、でもその目はいつも優しくて。


いつか、二人が一緒になって、二人の結婚式に出るのがばあちゃんの夢だったんだよ…」


そんな話、聞きたくなかった。

だって俺はそのばあちゃんの夢を叶えてあげることができない。

申し訳なさで胸がいっぱいになる。



「ユウちゃんから聞いてるよ。

あの子、今彼氏がいるんだろ?」


ユウ、ばあちゃんにそんな話してるのか。


「みたいですね」


「ごめんね、トシくん。

鈍感な子で。」


ばあちゃんが謝ることなんて何1つない。

こうなってしまったのは、俺が幼なじみという関係に満足して、1歩踏み出す勇気を持てなかったことが原因なのに。


「でもね、トシくん。」

膝の上に置かれた俺の手を小さくて細いばあちゃんのしわくちゃな手が握る。



「きっと気づく。

自分のことを誰よりも1番大事にしてくれるのはトシくんだって、

きっと気づくから、だからもう少し待っていてあげてくれないかな…」