「どうよ、どうよ!

大好きな人に告白されて、大好きな人が彼氏になった気分は!」


美帆に抱きつくのをやめて、今度は腕を絡ませ下駄箱のほうへ歩き始める。



「まだそんな実感ないし、分かんない。

ってかほんと朝から元気ね、ユウは。」


はあ、と1つ大きなため息をつく美帆。


「どうもありがとう!」

なんてハイテンションのまま返事をしたけれど。


でもね、美帆。

今、わたしは結構頑張ってるよ。


本当はね、昨日のモヤモヤがずっと頭の中をぐるぐるして。

気分が優れない。

だけど、大好きな美帆の恋が叶ったんだもん。

1番最初に、誰よりも1番、喜びたいから。

だからわたしは今、一生懸命笑ってるよ。


美帆はそんなふうにされることを望んでいないかもしれないけど。

でもわたしがそうしたいと望んでるの。


だから、こうして振舞っていることをどうか、許してほしい。




「そう言えば、トシくんには伝えてくれた?」