わけが分からなかった。
でもわたしの足は勝手に動いていて。
教室を飛び出していた。
「ユウっ!!」
トシが追いかけてきているのが分かった。
分かったけど、
絶対に今トシと向き合いたくなんてなかった。
だって、だって、
今、わたしが抱いているこの気持ちが
意味わからないんだもん。
走りながら頭の中を駆け巡るトシと吉村さんの姿。
あれだけきゃあきゃあ言っていたのは吉村さんだった。
トシのことが好きで、トシの誕生日にわざわざ誕生日プレゼントを渡す吉村さん。
その吉村さんとトシが一緒にお化け屋敷に来て、
そして二人は友達では決してない距離で、わたしの前にいた。
そんな二人の姿を消し去りたくて、
今胸の中にあるモヤモヤを消し去りたくて、
頭を振ってみるけど、消えるわけもなく、
どちらもわたしの中に居続ける。
わたしは知っている。
今わたしがトシに対して抱ている気持ちが何かを。
だってそれは、ナオくんにも同じことを思ったことがあるから。
それはナオくんが同じクラスの女の人と楽しそうに笑いながら廊下を歩いている姿を見た時だった。
なんだかすごくモヤモヤして、モヤモヤが止まらなくて。
それを美帆に言うと美帆は笑いながらあっさりとその気持ちの名前を教えてくれた。
『ユウ、それはね…』
足を止めることなく、もう1度頭を振る。
でも、やっぱり、消えない。
『嫉妬、って言うんだよ』