「うん、完璧」


真っ赤なリップを手にわたしの顔を見て、

美帆はうんうん、と頷く。



「えー!なにこれー!」

美帆の傍らにあった鏡を見て驚愕する。


わたしの口が三倍くらい大きくなっていたから。



「やりすぎじゃない?」


「そんなことないって!」


「でも美帆めっちゃ笑ってるじゃーん!」


2人でケラケラ笑っていると


「ほら、二人とも交代の時間だよー」

と呼ばれ、わたしはマスクを装着。


「いいねいいね、完璧に口裂け女だよ」


黒のロングコートを着て、マスクを付けたわたしの姿を見て美帆はにやにやしてる。


「全然うれしくない」


「褒めてるのに?」


「褒めてないもん!」


不貞腐れるわたし。

美帆に背中を押されながら仕方なく、自分の教室へ向かった。