「付き合うってどこに…⁉」
「いいから!」
吉村は俺の腕に自分の腕を絡めて人ごみの中をぐいぐいと進んでいく。
こうなってしまってはどうにもできない、
ということを俺はこの数か月で十分学んでいる。
もう、いいや。
どうせやることもないわけだし。
と、諦めモード。
流れに身を任せることとしよう。
「なあ、もしかしてさ」
校舎内に入り、階段を昇っていく。
そこで俺は察した。
「何?」
吉村はやっと止まってくれた。
「お化け屋敷にいこうとしてる?」
そう尋ねるとふっと笑うだけでYESともNOとも吉村は言わない。
どうやら、正解のようだ。
さて、どうしようか。
お化け屋敷、ということはユウたちのクラスに行くわけだ。
ユウはあの日…俺の誕生日のあの日に吉村の姿を見ている。
何か月か前の話だけれど、
俺の彼女だどうこうとわあわあ騒いだんだ、きっと吉村のことを覚えているだろう。
覚えているとして、
俺が吉村と一緒にいるところを見たら、どう思うだろうか。
このままいけば吉村は俺の腕を掴んで離さない。
友達だと思えない距離感になる。
…うん、よし、決めた。
分かってる。
自分自身が傷ついて終わるだけかもしれない。
でも、ユウを試したくなった。
誕生日の時のように妬いてくれるだろうか。
ユウは嫉妬だなんて思ってもないだろうけど、
あれはきっと嫉妬だった。
そして、直斗先輩を好きだと信じて疑わないユウは
再び今日も嫉妬をしてくれるだろうか。


