「俺はね、美帆ちゃんが好きだよ」
思わず、顔を上げた。
まっすぐ前を見てそう言い放った圭祐くんの横顔は、男の俺でもドキッとするくらいにカッコ良かった。
「この話をしてるときの美帆ちゃんはね、本当に辛そうで、苦しそうで。
美帆ちゃんのあんな顔、二度と見たくないと思ったし、あんな顔をさせる2人を許せなかった。」
ああ、もう。
俺には圭祐くんの気持ちがよく分かってしまう。
直斗先輩とのことで悩んだり、落ち込んだりしているユウを見て、許せない、と何度も思ったし、俺ならあんな顔はさせない、っていつも思っている。
「だから、トシくん。
キミの力になりたい。」
相手が違っても、好きな人を思う気持ちは一緒なんだ。
「どうせ、美帆ちゃんに頼まれたんでしょ」
圭祐くんは少し、驚いたような顔をする。
ほら、やっぱりそうだ。
「相談にのってあげてほしい、でも俺には自分が頼んだことは黙っていてほしい。
美帆ちゃん、そう言ったんじゃないですか?」
圭祐くんは何も言わない。
それはYES、と同じ意味だ。
「ほんと、美帆ちゃんは優しい。優しすぎる」
「俺も、そう思う」
「それに、圭祐くんだって優しすぎる。
いくら好きな人のお願いとは言え、
3コも年下の見ず知らずの高校生の相談に乗ろうって言うんだから。」
美帆ちゃんと、圭祐くんはおそらく似た者同士。
困ってる人を見ると手を差し伸べずにはいられない、優しすぎる人たち。


