-Side TOSHI-
「じゃ…「さて、」
ユウと美帆ちゃんを見送って、
さすがに解散か、と思った俺はじゃあ、と口を開いた。
でもそれをあっけなく圭祐くんにさえぎられる。
「ちょっと、座ろっか」
圭祐くんに促され、
空いているベンチに座る。
「悩んでるみたいだね」
「え?」
いつ俺はこの人に悩んでる姿なんて見せたっけ…
「美帆ちゃんから、いろいろ聞いてるよ」
ああ、なるほど。
犯人は美帆ちゃんか。
「今、トシくんが何を思ってるか当ててあげようか?」
唐突にこの人は何を…
「今日会ったばかりのお前なんかに相談なんかするかよ、
って感じかな?」
「そんなこと…」
思ってた。
思ってるよ。
なんだか後ろめたくて、視線を足元へ向ける。
「ウソつかなくていいよ。
俺がトシくんだったら、絶対にそう思うしね」
だったらなんで、という言葉が出るのをぐっと堪える。
「美帆ちゃんがね、すごく心配してるんだ、2人のことを。」
その一言で、この人が美帆ちゃんをどれだけ大切にしているのかが分かってしまう。
好きな人が悩んでる、心配してる。
少しでも力になりたい。
ユウに対して俺自身が抱いたことのある感情。
この人も、俺と同じだ。
ただ、好きな人の力になりたい。
その一心なんだ。


