「どうも初めまして。
美帆ちゃんと同じバイト先で働いてます、圭祐です。
いつも美帆ちゃんがお世話になってます。」
そう言って圭祐くんはチラッと美帆を見て少し意地悪な顔をする。
「もう、やめてよ。
そう言うのいいから!
ほら、行こっ」
ほんのり顔を赤らめた美帆は圭祐くんの袖を引っ張って正門をくぐっていく。
「なあ、ユウ」
それまで一言も声を発しなかったトシ。
ん?と言いながらトシのほうを見る。
「なんだよ、あれ。
イケメンすぎじゃね?
しかも、最後のやり取りは、もはやイチャつきだっただろ…」
「激しく、同意」
ほんと、なんだったんだ。
今のは。
前を歩く美帆と圭祐くん。
背の高い圭祐くんと少し見上げながら話をする美帆のその横顔は、どこからどう見ても恋する乙女の顔で。
美帆、可愛いな。
と、思うと同時に心配の必要がないことを悟る。
圭祐くんのあの感じなら、
美帆の告白は絶対にうまくいく。
少し気は早いけど、先に言っておくね、美帆。
おめでとう。
わたしは心の中でそっとそう呟いた。


