それから、放送がはいって、
わたしたちの初めての学祭がスタートした。
うちのクラスはお化け屋敷をやる。
そのために教室がとんでもない状態になっていたわけで。
そして、わたしも美帆もお化け役をやらなくてはならない。
午前と午後で2つのグループに分かれて、
午前チームがお化け屋敷の運営をしている間、午後チームはフリー、というように全員がちゃんと学祭を楽しめるようにしていた。
で、わたしと美帆は午後チーム。
だから午前中は思いっきり学祭を楽しむ予定。
「トシー!
こっちこっち!」
学校に着いた、とトシから連絡があって正門まで美帆と迎えに行く。
「久しぶり、美帆ちゃん」
「うん」
目で何か会話している様子の2人。
ほんとになんなんだ、この2人は。
いつの間に仲良くなったんだろう。
「で、圭祐くんは?」
ニヤリとトシが笑う。
「たぶん、もうすぐ…」
そこまで言ったところで美帆の言葉がストップする。
「美帆?」
視線が一点で止まっている。
美帆の視線の先をたどっていく。
思わず、トシと顔を見合わせた。
そこにいたのは、
175㎝のトシよりも背が高く、
ジーンズに白シャツという普通の格好なのにそれがものすごくオシャレに見える、
好青年を絵に描いたような男の人だった。


