「ユウ、聞いて。」
あの日から3日が経っていた。
朝、ユウの姿を見つけたあたしは走ってユウを捕まえる。
「あ、おはよう、美帆。
どうしたのー?」
「誘った」
「え?」
「圭祐くんを学祭に誘った」
えええー!!と叫んだユウは目を見開いている。
「どうしたの!美帆!
大胆じゃん!」
ユウの言う通りだ。
今までのあたしならこんなことできなかった。
でも、トシくんにあんなふうに応援されたら、怖気づいてなんていられなかった。
ユウに報告したのは、ユウに言えばトシくんにも勝手に伝わると思ったから。
トシくんに自分から連絡すればいいのかもしれないけど。
でも、それはなんかイヤだった。
ドヤ顔で俺に感謝しなよ、とか言いそうだし。
それは、腹が立つ。
だからユウを通して伝える。
「それで?圭祐くん、来てくれるって?」
「うん、行くねって」
学祭来ない?って誘ってから返事を聞くまでの、あの、間。
たぶん数秒だったと思う。
でも、あたしには果てしなく長く感じて。
自分の鼓動の大きさに戸惑った。
「よかったね!美帆!
学祭、頑張ろうね!!」
ユウは満面の笑みであたしの腕をぶんぶんと振り回す。
いつもならうるさいよ、と言ってなだめるところだけど、
なんせ今日のあたしはとても機嫌がいい。
こんなこと、なんてこともない。
トシくん。
あたし、頑張るよ。
だから、トシくん。
負けるな。
-Side MIHO END-