「なになになに!!

事件!?事故!?

なにっ!!」


目の前で突然叫んだせいか、

美帆をパニックにさせてしまってたらしい。



「美帆?ごめんね?」

顔の目の前で両手を合わせる。


ついでにクラスのみんなにもごめんね、と謝る。

わたし自身、あんなに大きな声が出るとは思ってもみなかった。


でも、声が大きくなるくらいの失態をわたしは犯したのだ。



「それで?何が”しまった”なの?」

眉間にシワを寄せた美帆が言う。


「今日、トシの誕生日なの。

なのにわたし、今の今まで忘れた。


今日の朝だって一緒に来たのに…」


はぁ、とため息が無意識に出てしまう。


…あれ?美帆の反応がない。

俯いた顔をあげると


「あのー美帆、さん?」

ビックリするくらいの無表情。


辞書の無表情という欄に今の美帆の写真を載せてほしいくらいの

THE無表情。