「その先輩ってやだ。幼馴染じゃん。昔みたいに啓太が良い。」

「でもっ…。」


お前が困った顔すると、俺はどうしていいかわからない。

思案顔の美穂にポケットから出したそれを渡す。


「な、何?」

「いちご飴。これ、舐め終わるまでで良いから前みたいに呼んでくれない?」


美穂は躊躇いながらも、照れたようにはにかんで俺の手に乗るいちご飴を受け取った。

そして、遠慮がちに俺の名前を呼ぶ。

さっきまで泣いてたと思ったのに、頬を染めて幸せそうに飴を食べるお前にホッとする。


そんな顔されたら、…期待してもいいですか?


いちご飴の魔法がどうか永遠に消えませんように…。


~fin~