数時間は経っただろうか。昼食時間になり、あざみは四人の友人と昼食をとるために学園内にあるレストランへと向かっていた。

聖ミランシア学園の制服と言うものは、男子は襟や袖口に金色のパイピングの施された濃い青のブレザー。右胸のポケットには校章である「月とヤドリギと剣」を模したエンブレム、と随分と仰々しく格式高い名門校であることが制服でわかる。
一方の女子はシンプルだ。修道服を模したと言う、白くて襟の大きな薄い藍色のゆったりとしたワンピース。右胸のポケットに男子の制服よりも幾分か小さくなったエンブレム。上品で淑やかな制服だ。冬はその上から白いカーディガンの着用が認められるがそんな布切れで寒さはしのげないと言うのが生徒の本音だ。

着る人間を選ぶシンプルながら美しい制服を見事に着こなすあざみ。持ち前のスタイルの良さと整った顔、そして穏やかな微笑みが制服の魅力と相まって魅力的だ。

本題に戻るが、ランクR以下は学食の利用しかできないが、Aだと学園内の料亭もレストランも利用できる。これも彼女が言う″自由″のうちだ。
Aが一名いれば入店できるためランクがRやJのあざみの友人も入店できるのだが、そこでちょっとした事件が起こるとは誰も予想しなかったわけである。