翌朝も何ら変わらぬ日々と同じく規則正しい生活リズム通りに事が進み、友人達と朝食を食べ教室に向かった。
日差しが心地よい、だが何となく晴れ晴れしない気分であざみはSHRが始まるのを待つ。

数分もせずの担当教師が入室し連絡事項を述べる前に改まった顔で生徒一人一人の顔を見る。

「新学期始まって早々だが、転校生がいらっしゃった。」

丁寧なその口調から察するにその転校生は昨日学校に復帰した京極冬夜と見て間違いはない。あざみは教師ではなく教室前方にある扉を見た。

「それでは、どうぞ。」

教師が扉を開き、入ってきたのは二人であった。
一人は予想通り京極冬夜で、もう一人は女生徒だ。
二人は若干の距離を起き、並んで黒板の前に立つ。

「えー、ご存じの通り京極家次期頭主冬夜様と…華風エイル様だ。」

冬夜はあざみを見つけたようで人の良さそうな柔和な笑みを向けた後に一瞬だけ冷たい雰囲気を纏った。
それが隣に立つ人物への警戒であったことは会って二日目のあざみにも容易に分かったし、彼女自身も華風という謎の女生徒に警戒心を抱いていた。