「遷宮、もう止せ。」


あざみの背後に現れた燕。
青い光が消えて、紫色の瞳となったあざみは怪訝な顔で振り向いた。


「燕さん。」


あざみの腕を引っ張り立たせた燕はどこかへと歩いていく。
それを拒むように掴む腕を引き離そうと画策するあざみだが力が強くどうにもできない。


「やめてください。」


怒りを露にするあざみだが燕は歩みを止めない。
立ち止まって抵抗するが、振り向いた燕は無表情であった。


「遷宮あざみ。黙ってついてこい。」


有無を言わさぬ迫力に息を飲んだあざみは抵抗をやめて、燕に引かれるまま歩く。


取り残された姫島に、黒い影が一つ近寄った。