そんなこんなで私は今に至るわけだけど…。


神崎くんには嘘とか言われるし、それを隠すためにも一目惚れだとかいかにもありそうでなさそうな回答をする羽目になり、しかも終始笑顔を保ったままやり過ごさねばならなくなった。


私はこの場から今すぐにでも立ち去りたかったので、返事はまたでいいからなどと言い、去った。


神崎くんと別れてから、私はものすごい後悔の波に押しつぶされた。


父には今日中に付き合ってくれないかと頼まれていたのに、なんてバカな言葉を言ってしまったんだろうと後悔した。


そもそも何で今日中なのかは分からないんだけど…。


そんな事を考えていると、ポケットに入れていたスマホが振動した。


嫌な予感がして、そっと画面を見ると、『父』と表示されていた。


今一番会いたくない人だったのに、ありえない。


でも電話に出ないと、後で怖そうなので私は恐る恐る電話に出た。


「はい」

『雪か?どうだった?』


「どうだったとは?」


私はあえてとぼけることにした。


『神崎くんとのことだよ。まさか忘れてはいないよな?それともわざととぼけたのか?』


父の威圧がかかった声で言われ、正直かなり怖い。


「いえ、忘れてはいないのですが…」


私は正直困り果てていた。