「あ、危ないからさ、放して?」

「んー?やだ。」

「いや、やだ、じゃなくっーーー!」



pipipipipipiーーー


けたたましくなっているのは私の携帯電話、仕事用。

「ちょ、だめ。放して。」

新を問答無用で放り出し、電話を繋ぐ。



「ーーーはい。すぐ向かいます。5分で着くので。わかりました。」



電話を切ると同時に新に向き直りわびを入れる。仕事とはいえ、家にいる新を放り出して行くわけだから。



「新っ!ごめーーー」


「仕事なんでしょ?謝っちゃダメだよ。行ってらっしゃい。頑張ってね?うらら先生。」



「あ、ありがと!あーこれ合鍵だから、適当に食べたら食器置いといて。戸締りしてくれたら助かる!じゃあ!」


「え、うらら!鍵いいの!?.....聞いてないし。」



その時、私は、慌しさにかまけて合鍵をあずけることの重大さを忘れていた。


まぁ、いっか。