「料理うまくなったんやな。頑張った?」

あまり広くはないキッチンに二人で立つとやはりどこかくっついてしまう。



.....ん?
新の向こう側にはだいぶスペースがあるぞ。

「新?もーちょいそっちいって?」

「やだ。」

「いや、やだじゃなくっーーー!」


言い終わる前に抱きしめられた。


「.....お酒飲んだの?」


「しらふだけど?」


「この腕は?」


「俺のためにうららがご飯作ってくれてるーと思ったら可愛くて、つい。ねえ、今日デートだったんでしょ?なにしてきたの?」


「ん?今日はね〜ランチして〜お買い物してきたよ〜あ、可愛いアウター買ったの!見る?!」


「いーよ別に。で、昨日彼氏に振られたんだよね?それでさ、もう今日の昼間はそいつとデートで、帰ってきたら俺に抱きしめられてるの解くわけでもなく、うららちゃん悪い子になっちゃったんだね。」



なんだか、新の様子がおかしい。出かける前もデートに行くって言ってから変だったし。私の昼間の『デート』が気になってる、の?



「彼氏に振られたのは昨日だけど.....ん?あーデートって女の子とだよ?遥って覚えてない?高校の時からの友達なんだけど。」




「え!?.....女の子だったの?.....なんだよそれ。俺カッコワリーーー」



「もしかしてもしかしてだけど、新、私が男の人と2人で遊ぶと思って拗ねてたの?」


「べ、別にそんなんじゃねーし。ほら、手、動かせ、手。」



新くん、図星ですね。恥ずかしいからって抱きしめる腕をきつくするでない。非常に動きづらい。