抱きしめられた腕を解くことなく 私は新の胸にもたれかかる。 少し、少しだけだから。自分にそう言い聞かせて。 きっとこれは、振られた辛さや寂しさではないはずだ。薄情だと言われそうだけど、 もう、幹元のことなんて、わすれた。 懐かしさとあの時捨てきれなかった好意。それがお酒のせいでごまかせなくなっているのだろう。 そう、これはお酒のせいだ。