映画館に着いた。


「ここが映画館と言うものか」


「もしかして、初めてとか言わないよね」


「初めて来た、いつもは家の
プロジェクターで映画は見るからな」


お金持ちのお坊ちゃんだから言うことが
違う。


「ワクワクしてきた」


興味津々の子供のような笑顔をしていた。


「何か、子供みたい」




そして、映画を見終わると


「感動した、まさかあそこであんな展開になる、何て思わなかったなぁ」


なんか、伊織の元気がない。


「どうかしたの?」


「どうして、あんな暗いところで
ゆっくり映画が楽しめるんだ」


暗いところでってことは、


「暗いところが苦手なの」


「苦手じゃない嫌いなんだ」


「そっか」


始まる前はあんなに楽しそうだったのに、
今は、ご機嫌斜めだ。


「次は、ご飯食べに行こう、何にする」

「オムライス」


食い気味に答えてきた。

好きなのかな?


「オムライス、好きなの?」


「あぁ、ふわとろオムライスが好きなんだ
店のオムライスも良いが兄さんが作る
オムライスも絶品なんだ」
 

無邪気な笑顔で話しているところを見ると

本当にオムライス、好きなんだなぁ。

と言うか、お兄さんいるんだ。

なんか、少し知れて嬉しいかも。


「じゃあ、オムライス食べに行こう」


「行こう」