学校  (教室)


「おはよう、麻倉」


「おう、おはよう」


クラスメイトからの挨拶に答えている


彼の名前は、麻倉 伊織(アサクラ イオリ)

家は、お金持ち。

勉強はいつも首席。

運動神経抜群。

それでいて、二年生ながら、生徒会会長。


初めて会ったとき、こんな人が本当に
いるんだと思った。



学園の王子様



彼は、そう呼ばれている。



彼に恋をしてから、学校に行くのが、
楽しくなっていた。


これだけ見ていて、飽きないものは
なかった。




あっという間に帰りの時間になった。

その時、地獄の時間がやって来た。



「この前のテスト、返すぞ」



今回は、本当に自信がない。


先生はどんどんテストを返していく。


「麻倉」

「はい」


テストが返されると王子様の周りでは、


「また、満点かよ、すげぇな」


「そうかな」


王子様は、相変わらずだ。


「一之瀬」


「……」


「一之瀬琴葉」


先生に名前を言われて、取りにいかないと
ならないけど、行きたくない。


本当に受け止めたくない現実があった。