学校 (教室)へ


「琴葉、ちょっと来て」


いきなり手を引かれて教室を出た。

そして、誰もいない廊下へ


「どうしたの?」


「昨日のファミレスで話してた奴、誰」


「えっ、空のこと」


「空って言うのか」


何か、怒ってる?


「空は、お兄ちゃんだよ」


「お兄ちゃん?」


「うん、私、双子の兄がいるんだよ」


「なんだ、そうなのか」


そう言って、しゃがみこんだ。 


「どうしたの、伊織?」


「だって、家の用事とか長引いてたし、
結局二週間くらい掛かっちゃったから、
俺に飽きて、他の男に乗り換えたとか
思って」


頭を抱えて、今にも泣きそうな顔してる。


「そんなことしないよ」


伊織を抱き締めた。


「でも、寂しかった」


「琴葉、ごめん」


伊織も、抱き締め返してくれた。


「その構えてやれなかった詫びって
言うのも可笑しいが、遊園地に一緒に
行ってくれるか」


「うん」