電車を待ってるとき


「そういえば、男の子に何、耳打ち
してたの?」


「あー、甘いものを食べると落ち着くもんだから、母親にあげろっていっただけ」


「そうなんだ」


「俺もよく迷子になる方だったから、
いつも兄さんが必死こいて探すんだ。

どこにいても見つけてくれてさ、
頑張って泣かずに待ってたら、兄さんが
飴玉をくれるんだ」


「そっか」


以外な一面が知れて、良かった。


「あと、最近の子供はアレルギーとかが
ある子が多いから、食べ物に関しては、
親の前であげるのが原則だ。

アレルギーがある子供の親は、
ちゃんと自己申告してくるものだしな」


あの少しの間にあんなに考えてから、
行動してたんだ。


やっぱり、凄い!




      家に着いた


「今日は、ありがとう、楽しかった」


「俺も今日はなかなか愉快だったぞ」


「そう、良かった」


「リフレッシュもしたから、
次からはもっと課題増やしても
平気だよな」


鬼ですか、この人は!


「手加減をしてください」


「それは、お前次第だ」


「じゃあ、またね」


「あぁ、じゃあな」


行ってしまった。

ふぅ、充実した一日だったな。



「琴葉、今のは誰だ」


何か、後ろから黒々しいオーラが!


「み、雅、さん、どうしたんですか?」


「今の男は何だと聞いている」


「それは……」 


何か、怒ってる?


「えっ、今の琴葉ちゃんの彼氏さん。
うそ、ママに紹介して頂戴」


お母さん、余計なこと言わないで!


「彼氏だと、あいつ、どうにかしてきて
やる」


やる って、 殺る じゃないよね。


「ついに娘が恋人を連れてきたか。
パパちょっと寂しい」


言いたいこと、言いやがって!


「おい、お前ら、家の前で騒ぐな。
恥を知れ恥を!
それとそこのシスコン落ち着け」


空の一言で家に入った。




      リビングへ


「それで、誰なの、あのイケメン君は」


「ただのクラスメイト」


「嘘でしょ、結構仲良く見えたわよ」


違うのに。


「琴葉、勉強教えてもらってる友達って 
さっきのイケメン君か」


空の質問に


「そうだけど」


素っ気なく答えた。


「やっぱり、彼氏なんでしょ」


お母さんにそう言われて思わず、


「だから、伊織とはそんな関係じゃあないから」


と、叫んでしまった。


「ほう、伊織、ねぇ」


空は、楽しそうに笑みを浮かべていた。

自分で墓穴を!


「その伊織と言うやつのところに」


「おい、雅、落ち着け」


飛び出して行きそうな雅を空が止めた。


「俺の可愛い妹に漬け込みやがって、 
あのクソ野郎め」


雅の言葉に、
ちょっと、カチンと来た。


「伊織を悪く言うな、何も知らないくせにそんなこと言う、雅なんて嫌いだ」


「うぅ、俺はもう……」


ちょっと言い過ぎた。


「雅が、フフッ、瀕死状態だ」


空は笑いを耐えていた。


もう、この人たち、完全に楽しんでる。