「はい、今行きます」 立ち上がる長野くん。 それを目で追った。 「俺の名前だっけ?」 あたしは頷く。 「長野はやく~」 急かす先生。 「いいよ、あとでで先生急いで…」 「楓」 あたしの語尾をかき消すかのように 長野くんだ言い放った言葉。 「え…?」 ガヤガヤした教室で 発してもかき消されるくらいの声でつぶやいた。