アリサの後を追い、家を出るとそこには逃げ惑う人々と見覚えのある集団がいた


「あれは…」


悪魔の闇月だった
さっきアリサを追っていた集団と同じなのか…それとも


「自分の国の問題で巻き込む訳には行かないアル。早く逃げるアル」


いつになく真剣な表情でそう言ったが、ミルが既に戦闘態勢に入っていた


「何してるアル!」


「あれはミルの敵なの」



ミルとアリサが睨み合い、リヒトはそれの仲介に入ったその時突如雷が襲いかかってきた


避けたものの仲間達は四方に飛び散った


「リヒト手を!」


「分かってる」


同じ方向に飛んだアリサと手を繋ぎはぐれないようにする


仲間達が心配だったが、リヒトにはそんな余裕はなかった


少し西に飛んだところで体は急に急降下していった


下を見れば地面が近づいていた


リヒトは咄嗟に思い浮かんだ呪文を唱えた


「12の星座の一星 白羊宮の力 黄金綿菓子の羊」


ペンダントから光が溢れ、周りにたくさんの黄金の羊(綿菓子)がかけてきた


羊の1匹がリヒトを受け止め地面に下ろす



「これ甘いアル!面白いアルッ」


アリサは羊の毛(綿菓子)をちぎって食べた



「それよりさっきのは…」


リヒトは が呟くとアリサは真剣な表情になる


「この国は三つの国で成り立ってるアル。一つはこの雷雲の国、二つ目は雷鳴の国、三つ目は雷雨の国そしてこれらの真ん中にそびえ立つ大きな塔にこれらをまとめる王がいるアル」



アリサが指さしたほうには高くそびえ立つ塔があった


「元々三国は手を取り合ってたアル。雷鳴の国は数年前、悪魔の闇月と手を取り合うようになってから変わったアル。この雷雲の国を乗っ取ろうと…いや乗っ取られたアル」



笑顔が消え、顔が暗くなっていった



「とりあえずさっきの連中は悪魔の闇月と雷鳴の国のヤツらアル!これで納得アルか?」



まだまだ疑問点はあるものの、無理に笑うアリサを見てはそれ以上聞くことは出来なかった



「アリサはやる事がまだたくさんアル。だからここでお別れアル」



「だったら俺達も手伝うよ」



「巻き込む訳には行かないアル」


アリサが地面を足で蹴れば、一瞬の内にその姿が消えていた



「アリサ…!」



リヒトが手を伸ばしても届くはずがなかった



雷鳴の音や爆発音が遠くに聞こえるこの場所でリヒトは考えた



アリサはリヒトの元から去った
無理に誘う必要も無いはずなのに何故か追いかけろとそう何かが命令した

<十二星座を必ず集めろ>


そもそもその理由がリヒトには分からない
だが、昔の記憶は集めろと命令し、悪魔の闇月を倒せとそう言った


無くなった昔の記憶、悪魔の闇月、十二星座…
考えれば考えるほど分からなくなったリヒトはその場で立ち尽くした


その時目の前を通った人物に何故か涙が溢れ、手を掴んでいた