性悪魔王と妄想モンスター(5/19 63P公開)





地べたを踏む音がした。
クマさんから顔を離すと、視界の端でむくろ君が立ち上がっていた。


そのまま歩き出すからワタシは慌ててむくろ君を追いかける。


2つの足音が何だか重く感じた。




むくろ君は何を考えているのだろう。



ワタシよりうんと広い背中が何かを教えてくれるわけじゃない。


ポケットに突っ込まれる手はしっかりしていて、歩き方も何から何までかっこいい。


むくろ君は素晴らしくかっこいい。


ワタシの取り柄なんてむくろ君への無償の愛くらいだ、じゅうぶん誇らしいけど!



うん!大丈夫!ワタシは大丈夫だ!なんかよく分からないけど!



ワタシは自分に喝を入れようと、ぺちとほっぺを叩いた。むくろ君の隣へ並ぼうと前出ると、



「……特に意味はない」



ボソッと発せられたそれはちゃんとワタシの耳に届いた。



一瞬、何がなんだか分からなかった。
驚くことばかり。むくろ君はワタシなんか気にせずそのまま歩き続ける。



む、むくろ君がっ…ふっ…ん、む!




顔全部が溶けていきそうだ。
むくろ君は確かに言った!


ちゃんとそれはワタシの質問への答えで、むくろ君は……。




「む、むくろ君!おてて繋ぎましょう!」


「自分と繋げ」



いや、それただの悲しい人ですからね。ひとりぼっちが握手の練習みたいになっちゃうからね。





むくろ君は認めた。

アレは夢じゃなかった、ちゃんと現実だったんだ。意味は無いと言われたけどそれはワタシとむくろ君がちゅーした事を肯定しているのと変わらない。



お母さま、ワタシは好きな人とちゃんとちゅー出来ていたようです!