地べたを踏む音がした。
クマさんから顔を離すと、視界の端でむくろ君が立ち上がっていた。
そのまま歩き出すからワタシは慌ててむくろ君を追いかける。
2つの足音が何だか重く感じた。
むくろ君は何を考えているのだろう。
ワタシよりうんと広い背中が何かを教えてくれるわけじゃない。
ポケットに突っ込まれる手はしっかりしていて、歩き方も何から何までかっこいい。
むくろ君は素晴らしくかっこいい。
ワタシの取り柄なんてむくろ君への無償の愛くらいだ、じゅうぶん誇らしいけど!
うん!大丈夫!ワタシは大丈夫だ!なんかよく分からないけど!
ワタシは自分に喝を入れようと、ぺちとほっぺを叩いた。むくろ君の隣へ並ぼうと前出ると、
「……特に意味はない」
ボソッと発せられたそれはちゃんとワタシの耳に届いた。
一瞬、何がなんだか分からなかった。
驚くことばかり。むくろ君はワタシなんか気にせずそのまま歩き続ける。
む、むくろ君がっ…ふっ…ん、む!
顔全部が溶けていきそうだ。
むくろ君は確かに言った!
ちゃんとそれはワタシの質問への答えで、むくろ君は……。
「む、むくろ君!おてて繋ぎましょう!」
「自分と繋げ」
いや、それただの悲しい人ですからね。ひとりぼっちが握手の練習みたいになっちゃうからね。
むくろ君は認めた。
アレは夢じゃなかった、ちゃんと現実だったんだ。意味は無いと言われたけどそれはワタシとむくろ君がちゅーした事を肯定しているのと変わらない。
お母さま、ワタシは好きな人とちゃんとちゅー出来ていたようです!



