バンテスト魔法書の保持者

いきなり倒れたリューラを、ルシータは慌てながら支えた。


さっきのリューラの状態が正常じゃなかったのは明らかだ。


その証拠に、リューラは今もまだ息を乱している。


意識を失っているが、その顔は安らかとはほど遠く血の気がなかった。


(本当にリューラさんって何者なのかしら?本当に不思議ちゃんだなぁ)


ルシータはとりあえずリューラを保健室に運ぶため、おぶった。


「う、ううっ」


それとほぼ同時に、リューラは目が開く。


「あ、起きましたか?今、保健室に‥‥‥」


「さ‥‥るな」


「え?」


「触るな」


発された声は、驚く程に無機質だった。


さっきの状態が嘘のようで、感情が入っていなかった。


そして、ルシータはリューラに背中を勢いよく押された。


ルシータはバランスを崩し、そのまま倒れ込んでしまう。


これには流石にイラッとした。


温和な性格に見えるルシータは、実はそこまで優しくない。


「リューラさ~ん、私、怒りますよぉ?」


黒い笑みを浮かべながら、ルシータは後ろを振り向いた。


「う、るさ、い」


次に聞こえた声は、さっきの無機質な声とは全く別で震えていた。


震える声でリューラはそういうと、周りの空気がリューラを中心に緩い風を起こす。


そんなリューラに、ルシータは本能的に恐怖する。


「これは‥‥‥何が起こって‥‥‥」


逃げないといけないが、腰が抜けてしまった。


(どうしよう‥‥‥このままじゃ‥‥‥のまれてしまう‥‥‥)