バンテスト魔法書の保持者

本当にあの子‥‥‥何者?


Fクラスっていうのも可笑しい‥‥‥


納得できない。


悔しいけど、あの子は実力がある。


たぶん‥‥‥‥‥ よりも。


「リューラ、オシレット・ダーシング、放課後に職員室まで来てください」


「?」


「はい、承知しました♪」


キーンコーンカーンコーン


「では、今日の授業は終わります」


エレクトロナ先生が教室を出る。


ザワザワと教室が騒がしくなってきた頃。


ガタッと大きな音を立てて立ち上がった生徒がいた。


全員の視線がそっちに向く。


彼女は珍しく足音を立てて私の前まで来た。


「ねぇ、イチカ‥‥‥私の魔法、どうだった?」


突然両手を捕まれ、すがるような目で私を見てくる。


私は彼女の、このイナリシア王女の表情が何よりも苦手だった。


綺麗で、何もかも肯定してしまいそうな‥‥‥


クラス全員が、少なからず私とイナリシアのことを気にかけている。


否定してはいけない。


彼女は‥‥‥ハンラルトの王女で、誰よりも完璧でいなければならないのだから。


言うならば‥‥‥そう、〈希望〉


「綺麗、だったわよ」


変な汗が背中をつたう。


私の言葉を聞くと、イナリシアが早足で教室を出ていった。


‥‥‥‥‥‥‥イナリシア‥‥‥‥


私は顔をふせ、大きく息を吐いた。