バンテスト魔法書の保持者

「あり、がと」


「!」


本当に、オシレット先輩にしか聞こえない音量で私は言った。


「どういたしまして」


オシレット先輩も、私にしか聞こえない音量で言ってくれた。


‥‥‥なんだろう。


オシレット先輩の腕の中は安心できる。


リオウとはまた違う感じの安らぎ。


「次、イチカ・モスキース」


「はい」


知った名が入ってき、視線を移す。


立ち上がったイチカ先輩と、一瞬目が合った。


が、すぐに不機嫌そうに顔を背けられた。


「火の精霊よ、熱く燃えゆ火をここに‥‥‥
〈ファイア〉」


火の魔法‥‥‥?


魔方陣が現れ、そこから静かに燃え上がる美しい火が現れた。


質とは、威力とはイコールにはならない。


綺麗な魔法。


前の先輩方が可哀想になるくらいの。


「イチカはああ見えて、魔力のコントロールがクラス1なんだよ」


「?」


「威力ではともかく、質だけで競えば僕も勝てるかはわからない」


以外だ。


イチカ先輩ほどの魔法力があれば、威力で押し潰せそうなのに。


「イチカの家系は特殊で、代々幻術魔法を得意とするって言ったらわかるかな」


その言葉に、ああ、と納得する。


幻術を見せる魔法は、威力の問題ではない。


どれほど質のいい魔法を繰り出すかによって威力が変わる。