バンテスト魔法書の保持者

「ユーン、逃げて。タッセンを連れて、すぐに逃げて」


その言葉に、ユーンは目を見開いた。


「!?、何を言ってるのよ!」


「ダメなの‥‥‥速く、逃げて。森の皆、連れてって。じゃないと‥‥‥」


この時、少女は酷く焦っていた。


本能が告げている。


「あの人、遊んでる」


「!」


タッセンが殺気を放って青年に攻撃している。


だが、あの青年はどうだ。


とても本気を出しているようには見えない。


一方の手をポケットに入れて、使っているのは片手のみ。


表情1つ変えず、的確にタッセンの攻撃を受け流している。


「私、あの人止めるから。逃げて」


「出来るわけないじゃないっ!逃げるなら、あなたも一緒よっ!」


「‥‥‥ありがとう」


ユーンの言葉に、少女は静かに微笑んだ。


それから立ち上がり、地面を蹴る。


「待って!」


「!」


少女は光の剣を持ち、青年に斬りかかった。


「おい!お前、何して‥‥‥」


「理を外れし精霊につぐ」


「!」


少女の髪と瞳が黒く染まっていく。


更には黒い輝きをもつ精霊が瞬きだした。


「その力をもって、かの者らを拘束せよ」


「っ!?〈ホーリープロテクト〉」