バンテスト魔法書の保持者

ふと、青年の右手が持ち上げられた。


目線が自然とそちらに向く。


脳が、己の直感が警報を鳴らす。


止めろ、止めろと。


パチンッ!


「なっ!?」


青年が指を鳴らした。


刹那的、消えていた炎がメラメラと出現しては大きくなっていく。


森の皆が慌てて走り回る。


辺りは一瞬で元の姿に、炎に包まれた。


「な、に‥‥‥!?」


こんな魔法は知らなかった。


消えたはずの魔法がまた、出現した。


理解が出来ない。


こんなのは‥‥‥知らない!


「私の魔力特性だ」


「!?」


冷めた右の緑と‥‥‥左の紅の瞳。


緑だったはずの両目の瞳。


ただ、その左が炎の紅色になっていた。


魔力特性

魔力が引き起こす現象で、固有魔法に属される魔力現象

効果はその固有魔力によってさまざまで、生まれもった特性であることが多い


「チチッ!」


「!」


不意に誰かの鳴き声が聞こえた。


それは、青年の瞳に映っていた。


自分の後ろで、その小さな身体を前に突き出して青年を威嚇しているが見えた。


「小動物か」


「!!、や、めっ!」


青年の魔力が右手に集中するのがわかる。