バンテスト魔法書の保持者

結界が解けた。


それは‥‥‥


「なんで、壊れたの?」


結界を張った者が、結界を維持できない状態になった時‥‥‥


「なんで、解かれたの?」


結界は自然と‥‥‥解かれる。


「なんで?」


どうして、大切なあの人は自分の下に来ないのか。


どうして、魔法を使ったのに誰も自分の下に来ないのか。


非常事態、皆が誰かを探しているはずなのに。


「ファーザーは‥‥‥どこ?」


森がこんな状況なのに‥‥‥


大切なあの人の気配がしない。


「皆は‥‥‥どこ?」


目の前がモノクロになっていく。


目の前の青年が、本に出てきた怖い悪魔に見えた。


無表情だった青年の口角が微かに上がる。


ゾッと背筋に悪寒が走った。


「ハハハッ、これは‥‥‥すごいな」


「ねぇ、」


「思わぬ拾い物かもしれない」


「ねぇってばっ、!」


大きな声を出して、青年に呼びかける。


「なんだ?」


「教えて‥‥‥」


「‥‥‥」


「質問に‥‥‥答えてよっ!」


胸が酷く痛かった。


心の中で何かが酷く叫んでいる。