バンテスト魔法書の保持者




〈それは、彼女が初めて外の世界の者と関わる
瞬間だった〉





聞こえてきたのは、少し低い声だった。


声のした方を振り向くと、思わず肩をくすめて身を縮みこました。


知らない声、知らない者。


黒の衣装を身にまとい、白の白衣を着た青年。

深い青の髪に、どこまでも冷めた緑の瞳。


その瞳に恐怖を覚えた。


震える足をなんとか奮い立たせて、ゆっくりと立ち上がる。


それから口を開いた


「‥‥‥だ、誰?」


青年はジッと彼女を見つめる。


それから視線を反らし、近くの木に触れた。


目を細め、湿った幹を指先でなぞる。


「高密度な質のいい水魔法だな。これをやったのは‥‥‥お前か?」


「ヒッ‥‥‥」


か細く悲鳴をあげ、思わず1歩下がる。


青年が見ていたのは、幹に残る魔法の痕跡。


冷めた鋭い視線が、彼女を突き刺す。


それから少し目を見開いた。


「その羽と衣装‥‥‥お前、もしかしてファルファラ族か?」


「ファル、私?」


「なんだ?自分のことなのに知らないのか?」


「?」


青年が何を言ってるいるのか、彼女はよくわからなかった。


ただ、この時彼女を支配していた感情は‥‥‥


恐怖


「ねぇ、あなた、誰?何で?」


何で、この森に入ってこれたの?