バンテスト魔法書の保持者

酷く怯えたような、諦めたような目。


何も写していないようで、とても深い何かを視ている。


「ここは、君の内面の世界だよね?」


「‥‥‥」


「そして本は記憶。その記憶がつまっている本棚を縛る鎖。それだけで、君がどれだけこの先の記憶を拒んでいるかは予想がつく」


あの鎖は拒絶の証。


全てを忘れたくて、忘れられない、哀れな少女の精一杯の抵抗。


せめて少しでも思い出さないように‥‥‥


沢山の記憶に鍵をかける。


それが無意味だと知っていても。


幸せの記憶でさえ‥‥‥少女を傷つける。


「ここから先は、私と一緒に‥‥‥」


「!それは‥‥‥」


「どうせ、次からはさっきみたいに憑依させることは叶わない」


リューラが本棚の側に立つ。


僕がリューラの隣につくと、リューラは僕の手を握ってきた。


その手は‥‥‥小刻みに震えている。


「リューラ‥‥‥」


「大丈夫‥‥‥大丈夫だから‥‥‥」


自分に言い聞かせるようにそう言ってから、本棚に手をつく。


それから唱えた。





「我の紡ぎし時の跡。我を作りし時を、今ここに甦らせよ〈記憶の海(メモリーレコード)〉」















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