酷く怯えたような、諦めたような目。
何も写していないようで、とても深い何かを視ている。
「ここは、君の内面の世界だよね?」
「‥‥‥」
「そして本は記憶。その記憶がつまっている本棚を縛る鎖。それだけで、君がどれだけこの先の記憶を拒んでいるかは予想がつく」
あの鎖は拒絶の証。
全てを忘れたくて、忘れられない、哀れな少女の精一杯の抵抗。
せめて少しでも思い出さないように‥‥‥
沢山の記憶に鍵をかける。
それが無意味だと知っていても。
幸せの記憶でさえ‥‥‥少女を傷つける。
「ここから先は、私と一緒に‥‥‥」
「!それは‥‥‥」
「どうせ、次からはさっきみたいに憑依させることは叶わない」
リューラが本棚の側に立つ。
僕がリューラの隣につくと、リューラは僕の手を握ってきた。
その手は‥‥‥小刻みに震えている。
「リューラ‥‥‥」
「大丈夫‥‥‥大丈夫だから‥‥‥」
自分に言い聞かせるようにそう言ってから、本棚に手をつく。
それから唱えた。
「我の紡ぎし時の跡。我を作りし時を、今ここに甦らせよ〈記憶の海(メモリーレコード)〉」
*********************
何も写していないようで、とても深い何かを視ている。
「ここは、君の内面の世界だよね?」
「‥‥‥」
「そして本は記憶。その記憶がつまっている本棚を縛る鎖。それだけで、君がどれだけこの先の記憶を拒んでいるかは予想がつく」
あの鎖は拒絶の証。
全てを忘れたくて、忘れられない、哀れな少女の精一杯の抵抗。
せめて少しでも思い出さないように‥‥‥
沢山の記憶に鍵をかける。
それが無意味だと知っていても。
幸せの記憶でさえ‥‥‥少女を傷つける。
「ここから先は、私と一緒に‥‥‥」
「!それは‥‥‥」
「どうせ、次からはさっきみたいに憑依させることは叶わない」
リューラが本棚の側に立つ。
僕がリューラの隣につくと、リューラは僕の手を握ってきた。
その手は‥‥‥小刻みに震えている。
「リューラ‥‥‥」
「大丈夫‥‥‥大丈夫だから‥‥‥」
自分に言い聞かせるようにそう言ってから、本棚に手をつく。
それから唱えた。
「我の紡ぎし時の跡。我を作りし時を、今ここに甦らせよ〈記憶の海(メモリーレコード)〉」
*********************


