バンテスト魔法書の保持者


目を開けると、真っ暗な空間にいた。


あれ?僕、さっきまで歌を‥‥‥歌って‥‥‥


「!」


目の前に‥‥‥少女がいた。


水色、桜色、黄色、黄緑色のグラデーションの長く美しい髪。

そして大きな、輝く金色の瞳。

色素の薄い、まるで花をイメージしたかのような妖精の衣装。

極めつけに、目を引き付ける虹色の繊細で美しい羽。


少女の胸の位置に、さきほどの本が光を放ちながら浮いている。


その本を、少女はどこか虚ろに見ていた。


この子は‥‥‥


「リュー、ラ‥‥‥?」


名前を呼ぶと、少女の目がこちらに移る。


深い‥‥‥深い闇を写した目だった。


「さっきのは‥‥‥君の記憶かい?」


「これは、彼女がまだ幸せだった頃の記憶」


虚ろな目で、少女は本に視線を戻す。


幸せ‥‥‥だった?


「これから彼女は絶望の道を辿ることとなる。
そして彼女は‥‥‥1度全てを失う」


「自分のことなのに、まるで他人のことのように話すんだね」


それとも‥‥‥


自分の見に受けたことを、受け入れきれていないのか。


「子猫ちゃ‥‥‥」


「オシレット・ダーシング、ここでは何も偽ってはならない」


「!」


無機質なような声。


だが、どこか深い意味をこめられているように僕は感じた。


「リューラ、ここからの記憶を見せて」


「‥‥‥」


リューラが目線を、鎖の巻き付いた本棚に移した。