ファーザーと呼ばれる男は、少女をしっかりと抱き止める。


腕でしっかりと受け止め、さらにはその大きな白い翼をも内側に、少女をかこうように抱き止めているよう。


少女の感情が、僕に流れてくる。


喜びに満ちた感情が伝わってくる。


「主よ、用事があるのだろう?小娘にかまっている暇はないぞ」


きずけば、僕と男の隣に白いライオンがいた。


「ルクス!」


「ルクス、お前はまた‥‥‥」


少女はルクスと呼ばれる白いライオンを見た瞬間、その身体に飛び付いた。


「ルクスー!」


「ぬっ、小娘!飛び付いてくるなと行っているだろう!」


そう言うわりには、逃げることもあしらうこともなく、好きにその毛を触らしている。


「モフモフ‥‥‥‥♪」


美しい立髪を少女は優しく撫でた。


「お前は本当にルクスが好きだなぁ」


「うん、ルクス大好き!ファーザーも森の皆も大好き!」


ファーザーの手が伸びてき、少女の頭を優しく撫でた。


これが‥‥‥子猫ちゃんの親。


この天使はいったい‥‥‥何者?


そしてこの森は、どこだ?


疑問ばかりが頭を巡る。


「じゃあ、私は少し出掛けてくるから。いい子にしてるんだぞ?」


「うん、いってらっしゃい」


だけど、わかることもある。


この少女は、この時は幸せだということだ。





〈美しい緑溢れる森。森に住む者たち。育て親である美しき天使。そして、その天使に寄り添う白き獣

少女にとっての世界はここだけだった〉