バンテスト魔法書の保持者

空中に浮く小石。


いや、そう見えるだけ。


「え?え、え?」


さっきからラメルさん、驚いてばっか。


まぁ驚かしているのは私なんだけども。


「ちょ、あんた!」


「?」


「あれ!どうなってるのよ!?」


ビシッと空中の小石を指差すラメルさん。


あんた‥‥‥‥か。


なんか、そう呼ばれたくない。


「リューラ」


「え?」


「そう、呼んで」


小石を見つめたまま、ラメルさんに言う。


今言うのは可笑しいんだろうけど気にしない。


それにしても‥‥‥‥


「いつまで、透明?」


「あっれれ~?バレてた?」


陽気な声を出しながら、胡散臭い笑顔を浮かべたオシレット先輩が現れた。


何事もなく、突然。


その手には、さっき投げた私が投げた小石がある。


「!?」


目を真ん丸にして驚くラメルさん。


ちょっと、いい表情かも。


「いつから?」


「寮、出た時、から」


「うわ~それ初めっから気づいてたってことだよね?」


「(コクリ)」


『おかしな~』なんていいながら首を捻るオシレット先輩。


別に悲観することなんてない。


気配もほとんど消されていた。