バンテスト魔法書の保持者

でも、なんか仲良くはなって‥‥‥る?


いやでも、昨日はミネアが気軽に話しかけてきただけだし。


いきなり手を掴まれたけど。


ミネアって、もともとフレンドリーなのかな?


「もしかして、覚えがないの?」


「‥‥‥(コクリ)」


ラメルさんが後ろを向いて私の方を見る。


目を見て首を縦にふると、どこか驚いた顔をされた。


なんで驚くんだろう?


ミネアは容姿も家柄もいいし、性格も悪くはないはず。


誰とでも仲良くなれそうだし。


あ、ラメルさんは、きっかけを覚えてないことに驚いている?


無言のままラメルさんと歩く。


寮から出ると、早朝の少しヒンヤリとした春の空気が身を包んだ。


食堂は男子寮と女子寮の近くにある。


食堂の入り口付近につくと、私とシンルスは自然と足を止めた。


「ちょっと、どうしたのよ?」


ついてこないことに首を傾げるラメルさん。


足を止めた理由。


それはただ1つ。


「‥‥‥オシレット先輩」


ラメルさんに聞こえるギリギリの声で呟いた。


首を傾げるラメルさん。


私は足下にある小石を拾って、ブンッと勢いよく投げた。


「ちょ!?」


そりゃあ驚くか。


突然石を投げたわけだし。


投げられた小石。


それは落ちることなく、空中でピタリと動きを止めた。