バンテスト魔法書の保持者

あんなことがあったから、そう簡単に好意はもてない。


でも、ラメルさんはちょっと必死そう。


「ちょ、ちょっとだけでいいから!」


‥‥‥‥まぁ、いいか。


「(コクリ)」


ラメルさんの言葉に頷くと、パッと表情が少し明るくなった。


あ、結構可愛い。


けど、すぐにまたソッポを向いてしまう。


「じゃ、じゃあ行きましょ!」


照れたように、ズンズンと進むラメルさん。


私の隣を通り過ぎて前を歩く。


『いいの?』


『‥‥‥シンルス、悪い感じ、した?』


『してない』


『じゃあ、大丈夫』


シンルスに一瞬だけ、優しく微笑みかけた。


それからラメルさんについていく。


「ね、ねぇあんた」


歩きながら、前を歩くラメルさんに声をかけられた。


なにをそんなにビビってるんだろう?


緊張しているのか、ラメルさんの声音は固い。


「気になってたんだけど、いつからミネアと仲良くなったのよ?」


ミネアかぁ。


いつ仲良くなった、か。


そういえば、いつからだっけ?


会ったのは屋上で、それから使い魔召喚があって‥‥‥‥


あれ?


「?」


顎に手を当てて頭を捻らす。


今思えば、別に仲良くなるきっかけなんてないような?