バンテスト魔法書の保持者

私も警戒はしてるし。


別に仲もよくないので、無視して朝ご飯を作りにシンルスと共に調理室に向かう。


「ちょ、ちょっと!」


が、ラメルさんに呼び止められた。


振り向くと、何やら葛藤しているご様子。


何に葛藤しているかは分からないけど、喋らないなら呼び止めないでほしい。


「?」


「ま、前は、悪かった‥‥わよ」


最後の方は本当に小さな声だった。


けど、わからない。


何に対して謝っているかが。


首を傾げると、ラメルさんは顔を赤くした。


そんな顔されても困るんだけど‥‥‥‥


最近、この人と関わった覚えはない。


「?」


「だから、ずっと前だけど、その、食堂でのことでよ!謝れてなかったから‥‥‥」


ああ、入学してすぐのやつか。


結構、律義な人なんだなぁ。


「(コクリ)」


「え?許してくれるの?」


「(コクリ)」


「でも私、聖剣なんか振り回して‥‥‥‥」


自分の非を認め、負い目を感じているラメルさん。


別に、私が気にしてないならいいと思うんだけどな。


ちょっと、見直した‥‥‥かも?


まだ言いたいことがあるのか、モゴモゴと口を動かすラメルさん。


「?」


「あ、あんたと話したいのよ。その、お詫びもかねて、今から食堂で奢らせて」


別に、お詫びなんていいんだけど。


それにしても、ラメルさんと話か‥‥‥