バンテスト魔法書の保持者

まぁ考えたとしても答えは決まっているか。


「ん、無理」


「は?」


わかっていたリューラの答えにイチカ先輩は納得がいかないようだった。


そんなイチカ先輩に、リューラが理由を言う。


「イチカ先輩、ランキング交換する権限持ってない」


「な!?」


当たり前、だけど見落としがちな事。


そう、リューラがイチカ先輩との模擬戦に勝ったとしても順位が入れ替わる可能性は低い。


なぜなら、リューラがこの学園の最下位でイチカ先輩が学園トップ5に入るエリートだから。


それ以前にリューラは平民でイチカ先輩が貴族ということ。


イチカ先輩のモスキース家は、珍しい封印魔法が得意な一族。


他に幻術なども得意とし、国から重宝されている。


そんな彼女が学園の恥さらしとされる、そして最下位の順位になるのは避けたい。


そして模擬戦をすればリューラは勝つだろう。


魔力の差はイチカ先輩が圧倒的に上。


だけど、リューラとは実戦経験の差がありすぎる。


どんなに優れた魔法を放とうと、リューラはそれを回避するだろう。


俺としてはリューラとの模擬戦はしないでほしい。


万一、幻覚魔法でリューラの心を揺さぶってしまっては‥‥‥


今、リューラはギリギリのところで理性を繋いでいる。


何時ものリューラなら幻術も容易く破るだろうが、今は別。


元々リューラは、自分の意思で何かをしようとは思わない。


そういう性格に強制的にさせられたら。


苛立ちを抑えられないといわんばかりのイチカ先輩。


「じゃあさ~僕と勝負しない?」


ピリピリとした空気の中、場違いなほど呑気な声がした。