教会を出た私とリオウは、ただいま草原を滑っている。


具現化魔法で両足に小さな2枚の羽を生やしていて、それを操っている。


風がとても気持ちいい。


「リオウ、後どれくらい?」


「あの街で、ハンラルト学園まで案内してくれる人と待ち合わせだ」


「ん、わかった」


街へ入って、魔法を解いた。


リオウは涼しい顔をして余裕そう。


私は、少し息を切らして汗をかいている。


「リューラ、大丈夫か?やっぱりペース落としたほうがよかったか?」


「平気。すぐ、戻る」


街を歩いていると、この街のシンボルの
『ホルラン時計台』が見えた。


名前はそのままだけど、とても綺麗で立派な時計台だ。


時計台には、早朝だけど沢山の人がいた。


休みの日というのもあって、観光客とかで少し賑わっている。


「やぁリオウ君、久しぶり」


時計台から、少し上等な服を着た30代前半くらいのおじさんが言った。


リオウに向かって優しい微笑みを浮かべ、こちらにやってくるおじさん。


私は眼中に入ってなさそう。


「知り合い?」


「いや、知らないが」


さらっと即答したリオウ。


おじさんの顔が少しずつ引きつっているのは気のせいではないと思う。


「リオウ君は酷いな。私はマイル・アーケイだよ。試験のときに担当してた」


‥‥‥さっきから無視されてる私は一体なんなんだろう。


この人の視界に映ってないのか?


それにしてもこの人、試験官だったんだ。


「マイルさん、ここにいるのは俺だけではないですよ」


「いや~そこにいるのはまぐれで合格した人だろう」


「‥‥‥見えてたんだ」


「リューラ、反応するところが可笑しいぞ」


優しい微笑みを絶やさないマイルさんと無表情の私とリオウ。