バンテスト魔法書の保持者

根性‥‥‥見せる!


「うおぉ!」


ガキン!


力押しで魔狼の手を押し返す。


魔狼は少しよろけ、私はその隙にジャンプして魔狼の頭上で魔法を使う。


「全てを清める清水よ、汚れを祓い、元のあるべき姿に返せ〈清冷水の泉・雨〉」


描いた魔法陣は大きくなり、そのまま魔狼の頭の上で雨のような水の矢を振らせた。


魔狼は力尽きたのか、そのままその場で伏せてしまう。


私は地面に着地すると武器をしまって魔狼の目の前に立った。


「グルルルルル」


まだ警戒しているようで、こちらを殺気をやどす目で睨まれる。


魔狼の体長は5メートル以上はある。


その身体はよく見ると傷だらけで、怪我はどれも最近のものだろう。


まだ血が止まっていない箇所もある。


「グルルルルル」


「‥‥‥大丈夫」


私はそう言い、魔狼の鼻に触れた。


「ガァ!」


「‥‥‥大丈夫」


目をしっかり見つめ、魔狼に向かって言う。


この子は、襲いたくて襲ってるんじゃない。


怯えていて、声はどこか悲しそうだったし怒りを含んでいた。


「‥‥‥落ち着いた?」


「‥‥‥‥ガァ!」


魔狼が口を開けて私に威嚇する。


私は動かず、ただ目を見つめた。


唐突に、魔狼の牙が肩の皮膚を破る。


血が流れたが、それすら無視して魔狼を見つめた。


「‥‥‥グルル」


「大丈夫。傷つけたりしない」