ちなみに、私のことを綾って呼ぶのは涼ちゃんだけだし、涼ちゃんって呼ぶのも私だけ。 それってなんか特別感みたいなのに溢れていて。 「綾、帰りにカフェ寄ってこっ。今日から新しいやつでるじゃん?」 校門から出てすぐ。5歩くらい前を歩いていた私に、久しぶりに涼ちゃんからお誘いがあった。 「え、でもお金ないからいいよ。」 私が断ると優しく微笑んで、 「バーカ。綾に払わせられないっつの。今回は俺の奢り。」 そう言って私の手を取ると、 「走るよ!」 そう、10年前と変わらない笑顔で走り出した。