両片想い~隠しきれない想い~

「佐奈!大丈夫!?」
瀬乃が息を切らして走ってきた。
「大丈夫。こんなんじゃ死なないし。」
私は笑顔を作った。すると、パチンと鈍い音と共に私は頬を叩かれた。
私は瀬乃を見た。すると、瀬乃は泣きながら、震えていた。
「なんで…なんで自分を傷つけるの?」
「でも…」
「私の為に佐奈の身体に傷つけて欲しくない!」
それ以来瀬乃とは話してない。瀬乃と話したいよ…。くだらない会話で盛り上がりたい…。
でも、その願いは届かなままだった。
もうすぐ、クリスマスだ。
瀬乃にどうするか聞きたい。私はずっと話しかけようか悩んでいた。すると、
「あの…竹中さん。ちょっと良いかな?」
隣のクラスの天野君に呼び出された。
「好きです。付き合ってください。最近元気が無いから、僕が笑顔にしたいんだ。」
私は迷った。元々天野君は好きだったし、良いかなっと思った。でも…
やっぱりダメだ。今は瀬乃の事とちゃんと向き合いたい。
「ありがと…でも、ダメなんだ。今は…瀬乃と向き合いたいから。」
すると、豹変したかのように
「はぁ?お前が俺のこと好きだって聞いたから告ってやったのに。」
私は驚いた。こんな人だったの…?
「なぁー。お前って俺のこと好きなんだろ?じゃあ、付き合ってもいいじゃん。」
私は困ってしまった。すると
「おい。自意識過剰ヤロー。だからお前はモテねーんだよ。」
どこかで声が聞こえた。後ろを振り返るとオレンジ色の髪をした男子が立っていた。
「お前は…」
天野君はどっかへ走り去って行ってしまった。
ヤンキーみたいな見た目に腰が抜けてしまって、お礼が言えなかった。